パッサナーのブログ

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休日午後の博物館訪問、北海道博物館 1 - 周囲の環境、建物の魅力、巨大なホール

(2024.03.31、北海道博物館)

北海道博物館は札幌市にある道立の総合博物館で、北海道の中核的な博物館として位置づけられています。
展示室の規模、展示内容とも北海道では随一です。
年に数回訪問しますが、そのたびに知的好奇心が満たされます。
今日も午後から、北海道博物館を訪問しました。

自宅を出発したのは14:00過ぎで、北海道博物館までは車で30分強です。
北海道博物館は野幌(のっぽろ)森林公園のなかにあり、周囲には北海道開拓当時の原始林が広がります。
以前読んだ博物館経営の本には、博物館は市街地中心部に建設し、多くの訪問者を呼び込むべきであると書かれていました。
それも一理ありますが、こうした豊かな自然に囲まれた博物館には、市街地中心部に設置された博物館とは、また異なる魅力があります。

自然に囲まれているとは言っても人里離れた山中にある訳ではなく、札幌市中心部からは車で30分強です。
もちろん、市街地中心部にある博物館とは比較になりませんが、それでも、訪問者の呼び込みに極端に不利という訳ではなさそうです。
それにしても、200万の人口を擁する大都市でありながら、開拓当時の原始林に短時間でアクセスできるのは贅沢です。
これが札幌の魅力の一つでもあります。

15:00前に北海道博物館の駐車場に到着します。
駐車場は博物館の建物から少し距離を隔てたところにあります。
博物館の前面は大きな広場になっており、ここが駐車場であるか広場であるかは、博物館に対する印象に大きく影響します。

北海道博物館の建物は1970年に建設され、1973年には日本建築学会賞を受賞しています。
建築家の佐藤武夫(さとうたけお)の設計で、野幌で産出した赤れんが約75万本を用いた芸術性の高い建物です。
「森のちゃれんが」の愛称を持ちます。
このような芸術性のある建物がその魅力を発揮するには、建物の周囲に十分な余白があることが必要です。
余白を設けることで建物をほかのモノから隔絶し、その魅力を際立たせます。

これは、美術品を効果的に展示する場合と同じです。
美術品の魅力を際立たせるため、周囲には何も置かず、ほかの視覚要素をカットします。
何も置かない空間が余白です。
余白がなければ美術品の至近に種々雑多な視覚要素が入り込み、美術品の魅力が埋没します。

北海道博物館の場合も、前面に大きな広場を設けることで余白をつくり、れんが造りの建物の魅力を引き立てています。

もし、博物館の前面が駐車場で、そこが多くの車で埋め尽くされていたらどうでしょう。
建物の魅力は車の並ぶ風景のなかに埋没し、減衰してしまいます。
設計した佐藤武夫の意図した芸術性も、十分に伝わることはなかったでしょう。
その意味で、駐車場を建物から隔てたところに設置したのは効果的です。

玄関から入ると巨大なホールがあり、2本のれんがの柱が天井までそびえ、吹き抜けの空間になっています。
天上の高さは15mあります。
持っていたコンパクトデジタルカメラで撮影しようとしますが、空間が大きく撮影範囲に収まりません。
こうしたスケールの大きな建物を撮影するときには、超広角レンズが威力を発揮します。

以前は写真趣味が高じていたので、いつも、レンズ交換式デジタルカメラと交換レンズを持ち歩いていました。
しかし、最近ではその重さが応えます。
それに加えてここ数年、学芸員資格の取得や大学院の受験など、ほかにやるべきことが増え、そこまで苦労してカメラとレンズを持ち歩かなくなりました。

そんなことで、今日はコンパクトデジタルカメラだけを持参しています。
楽ではありますが、今回のようなケースでは超広角レンズが欲しくなります。

さて、この後受付で入場券を購入し、展示室見学に移ってゆきます。