(2024.1.23、札幌市北区北8条、南陽堂書店にて)
9月末に大学院進学が決まり、
4月の入学までは6か月。
あれもやろう、これもやろう、
そう思いつつ、
早や4カ月が経ちます。
やることで多いのは、
読書です。
流れとしては、
公共政策、
研究方法、
マクロ経済、
政治、
博物館、
と、いう感じで読んできました。
多くは読めていません、
それぞれのジャンルで2,3冊です。
マクロ経済は苦戦し、
随分と時間がかかりました。
今読んでいるのは、
博物館の本で、
小林克,2009,『新博物館学 これからの博物館経営』,同成社、
です。
これは、
学芸員の資格を取得するとき、
通信制の大学で使用したテキストです。
2021年から2022年にかけて、
玉川大学の通信で、
勉強していました。
(学芸員の資格は、
2022年10月に取得しました。)
学芸員資格の取得に必要な科目の一つ、
博物館経営論のテキストです。
著者の小林さんは、
江戸東京博物館、
東京都写真美術館で、
学芸員をされていました。
この本では、
主に江戸東京博物館での経験を基に、
博物館での経営はどうあるべきか、
実務に即して述べられています。
また、
博物館の基礎的業務についての、
考え方や実践例も示され、
バランスのとれた博物館経営にも、
言及されています。
しかし振り返ると、
資格取得の勉強で、
『新博物館学』を読んでいたときには、
字面は目で追うものの、
どこか他人事でした。
博物館は昔から好きですが、
それはあくまで、
余暇として訪問する側の立場において、
ということです。
それまで管理・運営側、
つまり経営側の視点から、
博物館を考えたことはありませんでした。
1980年代から1990年代半ばにかけての、
博物館の建設ラッシュ。
バブルの崩壊に端を発する、
1990年代半ば以降の、
公立博物館の予算の削減。
2003年の指定管理者制度導入の経緯と、
その後における、
博物館経営の厳しさ。
博物館界のこうした状況を、
全く知りませんでした。
そのような状態で、
博物館経営の本を読んでも、
書いてあることに、
ライブ感が伴いません。
2023年の春頃、
大学院受験準備の一環として、
放送大学の、
博物館経営に関する本を読みました。
これが、
身を入れて、
博物館経営というものに触れた最初です。
このとき読んだ放送大学の本は、
改訂版が出ていたので、
そちらも読みました。
また、1月には、
1990年以降の、
博物館経営に関する本を、
2冊読みました。
布谷知夫,2005,『博物館の理念と運営 利用者主体の博物館学』,雄山閣、
と、
金山喜昭(編),2020,『転換期の博物館経営 指定管理者制度・独立行政法人の検証と展望』,同成社、
です。
これらの本を読み、
利用者目線に立った博物館経営や、
指定管理者制度下における博物館経営など、
経営側の視点を知ることができました。
こうした読書経験を経て、
もう一度、
『新博物館論』に戻ってきました。
するとどうでしょう、
今、この本を読むのが、
とても楽しいのです。
指定管理者制度を導入した博物館の、
経営の悪戦苦闘についても書かれていますが、
読んでいてライブ感を覚えます。
これは、
1990年代半ば以降の、
博物館経営の厳しさの背景を、
幾ばくかでも知ったからでしょう。
同じ本でも、
他の本を経由して、
改めて読んでみると、
俄然面白くなります。
本の面白さは、
その本自体にあるのではなく、
読む人の関心や知識によって生まれる、
そういう本もあるということです。
以前読んだ本を引っ張り出して、
そうした体験をしてみるのも、
楽しそうです。