パッサナーのブログ

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指定管理者制度の二つの目的は背反し、達成が難しい

(2023.7.17、安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄、指定管理者:認定NPO法人アルテピアッツァびばい)
 
読みかけの本を読み終え、
一つ終わったぁ、
という感じがしてます。
 
本は、
金山喜昭(編),2020,『転換期の博物館経営 指定管理者制度独立行政法人の検証と展望』,同成社
です。
 
2003年の指定管理者制度導入後の、
公立博物館の管理運営について、
その現状と課題が書かれています。
 
独立行政法人化した博物館についても、
 書かれていますが、
 ここでは触れません。)
 
以下、読んだ後、
思いついたことを書きます。
 

この制度の発端は、
1990年にバブルが崩壊し、
税収が減少した地方自治体が、
財政難に陥ったところに根があります。
 
それまで公立博物館は、
地方自治体による直営、
もしくは、
公設財団法人等への委託により、
管理運営されていましたが、
財政難により、
十分な予算がつかなくなりました。
 
そこで、
公立博物館の管理運営に、
民間企業の経営手法や、
創意工夫を取り入れることにより、
サービスの向上と、
行政コストの削減を、
両立しようとしました。
 
 
しかし、
サービスの向上と、
行政コストの削減は、
背反するので、
指定管理者制度を導入した公立博物館は、
難しい管理運営の舵取りを迫られています。
 
指定管理者制度では、
地方公共団体が、
民間事業者を含む団体・法人を指定し、
公立博物館の管理運営を委託します。
 
このとき、
地方公共団体は、
指定した団体・法人に、
博物館の管理運営に必要な、
指定管理料を支払います。
 
 
指定管理料は、
指定管理者制度導入前の、
博物館の管理運営にかかった費用を、
参酌して算定されました。
 
しかし、
この算定の仕方に問題がありました。
 
指定管理者制度導入前の、
管理運営にかかった費用は、
すでにその時点で、
ギリギリまで、
削られた金額になっていました。
 
そして、
算定された指定管理料は、
そこからさらに、
2~3割減額されていたのです。
 
 
これでは、
いかに民間企業の経営手法や、
創意工夫を取り入れても、
サービスの向上はおろか、
従前のサービスの維持さえままなりません。
 
指定管理者制度の一方の目的である、
行政コストの削減はできても、
もう一方の目的である、
サービスの向上ができないのです。
 
 
現在、
多くの公立博物館が、
こうした状況に直面しています。
 
しかし、
これも多くの博物館が、
地域の課題を解決するための役割と責任を、
ミッションとして掲げ、
真摯に取り組んでいます。
 
私は、
こうした博物館を応援したいです。
 
私にできることは何なのだろうと、
自問しています。