ようやくマクロ経済学の本を読み終え、
今日から新しい本を読んでいます。
読んでいるのは博物館に関する本で、
布谷知夫,2005,『博物館の理念と運営 - 利用者主体の博物館学』,雄山閣、
です。
19年前の本ですが、
刊行された2005年は、
博物館界が新しい局面を、
迎えていた時期でもあります。
2001年に、
国の政策評価制度が導入され、
各府省が実施した政策が、
評価されるようになりました。
この流れを受け、
地方自治体においても、
実施した政策について、
評価が行われるようになります。
日本の博物館の約75%は、
設置者が国(または独立行政法人)・地方自治体なので、
政策評価導入の影響は大きく(※1)、
その後多くの博物館で、
博物館評価が行われます。
(※1)
文部科学省「2015年度社会教育統計」、
また、
佐々木亨「博物館の経営手法⓶:使命と評価」.稲村哲也・佐々木亨,2019,『博物館経営論』,162-179,放送大学教育振興会、
より。
政策評価導入の背景には、
NPM(ニュー・パブリック・マネジメント)があります。
これは、
民間企業の経営手法を公共部門に適用し、
行政の効率化・活性化を図る考え方です。
1990年代初頭のバブル崩壊により、
税収が減少し、
国や地方自治体の財政は逼迫しました。
しかし、
行政サービスの低下は、
避けなければなりません。
そこで、
行政の現場に民間の経営手法を取り入れ、
効率化・活性化を図ることにより、
財源が縮小したなかでも、
行政サービスのレベルを維持しようとしたのです。
こうした時期に、
『博物館の理念と運営』は刊行されました。
副題に「利用者主体の博物館学」とあるように、
この本では、
利用者の視点に立った博物館が、
どのような理念を持ち、
どのような実践活動を行うべきかが、
論じられています。
博物館は、
資料の、①収集、②保管、③調査研究、④展示・教育の機能をもち、
これらの活動をすることに本質があります。(※2)
(※2)
大堀哲,2004,「博物館とはなにか」,鈴木眞理(編集),『改訂 博物館概論』,1-19,樹村房、
より。
上の機能のなかで、
利用者との関りがイメージされるのは、
④展示・教育です。
しかし、
①収集も、⓶保管も、③調査研究も、
その成果が利用されることが、
想定されています。
成果の利用なくして、
これらの機能が、
維持される理由はありません。
従って、
これら博物館の機能の全てについて、
つまり博物館そのものが、
どのようにあるべきか、
利用者の視点に立って、
考えられる必要があるということです。
そして、
この、
利用者の視点という要素は、
博物館評価の重要な指標になり得るものと、
私には思えました。
そのような訳で、
今日からこの本を読んでいますが、
いやぁ、
昨日まで読んでいたマクロ経済学の本とは、
読書感が違いますね。
しばらく、
博物館関係の情報から離れていたので、
なんだか懐かしい気がします。
戻ってきたぁーっ、
っていう感じ。
明日からも楽しみです。