パッサナーのブログ

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休日午後の博物館訪問、北海道博物館 3 - 年間パスポートの利点、汲めど尽きせぬ泉

(2024.03.31、北海道博物館、ステラーダイカイギュウの親子の模型)

記事は前回の続きです。

展示室に入場して間もなく、閉館が16:30であることを知らせる館内放送が響きます。
閉館は17:00だと思っていたので焦ります。
既に15:30をまわり、1時間ほどしか見学できません。
(閉館時間は5月~9月が17:00、10月~4月が16:30です。)

北海道博物館の展示室はプロローグと5つのテーマの、計6つのゾーンに分かれています。
どのゾーンも面積は大きく、展示資料の数も多く、解説は充実しています。
1時間で6つのゾーンを見学するのは難しいです。
それでも見学するなら駆け足です。
展示資料は視界に収めるだけ、展示解説はろくに読まない、ということになります。
これでは展示見学とは言えません。

しかし、この日は事情が異なります。
先ほど受付で、年間パスポートを購入しました。
1年間、好きな時に入場できます。

そこでゾーンを絞り、「プロローグ」と「第1テーマ」の2つだけを見学することにします。
6つあるゾーンのうち、4つは見ないと決めました。
そう決めることができたのは、年間パスポートのお陰です。
他のゾーンはいつでも見学できます。

年間パスポートは、展示の一部だけを見学するときに有効です。
通常は、展示の一部の見学でも正規の入場料がかかります。
しかし、年間パスポートがあればその都度入場料を負担することなく、展示の一部を見学できます。
年間パスポートは、こうした見学の需要にも応えます。

さて、見学するゾーンは「プロローグ 北と南の出会い」と「第1テーマ 北海道の120万年物語」です。
博物館訪問の記録は通常、どのような展示資料があり、どのような展示解説があったのかを書きます。
しかし、そうした客観的な情報を書いたところで、それは博物館のホームページを見れば分かる、という話になります。
そこで、客観的な情報ではなく、印象に残った展示資料や展示解説、感じたことや思ったことなど、主観的な情報を書くことにします。

「プロローグ 北と南の出会い」のゾーンでは、床いっぱいに描かれた、北海道博物館を中心とする東北アジア衛星写真が興味深いです。
衛星写真には北海道博物館からの距離が500km(宮城県まで。)、1,000km(静岡県まで。)、1,500km(鹿児島県まで。)の、3つの同心円が書かれています。

同心円によって、日本国内での距離感が、西方の大陸や北方のサハリン、カムチャッカまで、どのように及ぶのかが実感できます。
日本列島は地球的な規模で見て、思った以上に大きいと感じました。

また、衛星写真により、北海道が周辺地域の結節点となっていることが分ります。
南に本州、西に大陸、北にサハリン、東に千島列島があり、北海道はそれらの中央に位置します。

自然史的には、12万年前には本州からナウマンゾウが渡来し、数万年前にはサハリンからマンモスゾウが渡来します。
文化史的には、北海道のアイヌは南方の和人や北方の少数民族と交流しています。
こうして北海道は、自然史的にも文化史的にも周辺地域と結びついてきました。

「第1テーマ 北海道120万年前」のゾーンは、すべての展示を見学することはできませんでした。
見学した展示は、寒冷な気候であった約120万年前、温暖な気候であった約21万年前、3万数千年前(北海道に人が住むようになった頃。)から1万数千年前の旧石器時代までのものです。

印象に残ったのは、ステラーダイカイギュウの化石と一緒に展示されていた、ステラーダイカイギュウの親子の模型です。
ステラーダイカイギュウは冷たい海に住んでいた大型動物です。
北広島市の120万年前の地層からこの化石がでたことから、当時北海道は寒冷な気候であったことが分かります。

ステラーダイカイギュウは18世紀まで、ベーリング海の小島に生息していました。
しかし、1741年にロシアの探検隊に発見された後に狩り尽くされ、27年後の1768年に絶滅します。
ステラーダイカイギュウの親子の模型を見たとき、この愛に満ちた家族の姿はもうどこにもないのだと、悲しい気持ちになりました。

これからも、同じ展示を繰り返し見学します。
見学の都度、印象に残る展示資料や展示解説、感じることや思うことは変化します。
それだけ展示の内容が、質、量ともに豊富だということです。
北海道博物館は、汲めど尽きせぬ泉です。