パッサナーのブログ

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CoSTEP の成果発表会で、科学技術コミュニケーションを知る

(2024.3.9、CoSTEP 成果発表会)

今日は午前中、北大に、CoSTEP 修了特別プログラムの成果発表会を見に行きました。
知人から案内され、行くことにしました。
この日 CoSTEP を修了する別の知人が、成果発表会に出演されています。
CoSTEP で活動された1年間の成果を、ここで発表します。

CoSTEP とは、科学技術コミュニケーションに取り組む、北大の教育・実践・研究組織で、科学技術コミュニケーション活動を担う人材養成を行っています。
CoSTEP はコーステップと読み、略せずにフルで書くと、Communication in Science & Technology Education & Research Program となります。
名称に科学技術とありますが、受講者として理系・文系は問われません。

私も、大学院と両立できるようなら、来年度の CoSTEP を受講したいと考えています。
ただ、1年間の長丁場で、数人の班で作業を分担して活動するため、途中で離脱すると迷惑をかけてしまいます。
私は2年間休職するので給料がでません。
アルバイトをする可能性も高いので、大学院の授業以外に、そこも考慮に入れる必要があります。

CoSTEP では、科学技術コミュニケーション活動を担う人材養成が行われますが、科学技術コミュニケーションとは一体何でしょう。
CoSTEP の成果発表会を見に行き、来年度の受講まで考えていながら、ここがイマイチ分かっていません。

CoSTEP のウェブサイトを見ると、「科学技術の専門家と一般の人びとの間に双方向的な関係性を確立し、科学を学ぶことの意義や楽しさ、そして科学技術と社会の問題について伝え、共に考えを深め、協働を通じて知識や価値の創造に寄与する活動を、科学技術コミュニケーションという」とあります。

また、「科学技術に関することがらについて、異なる価値観を持つ人びとをつなげる入り口の役割を担うのが、科学技術コミュニケーターです」とあります。

以下、これを踏まえた自分なりの解釈です。

科学技術コミュニケーターは、研究者や技術者と一般の人びととの間に立ち、科学を学ぶことの意義や楽しさ、科学技術と社会の問題などに関する情報を双方向に流通させる媒介者です。
これにより、研究者や技術者と一般の人びととが共に考えを深め、協働を通じて知識や価値の創造に寄与します。
CoSTEP はこの、科学技術コミュニケーターを養成します。

また、科学技術コミュニケーターは情報の媒介者として、異なる価値観を持つ人びとをつなげる入り口の役割を担います。
ですから、科学技術の詳細な議論を促すのではなく、まずは共通理解のための地ならしをします。 

たしかに科学技術の正確・詳細な知識の提供は望ましいですが、共通理解を目指す段階では、一般の人びとの目線に立った情報提供が大事です。
この点で科学技術コミュニケーターは、決して理系の範囲に限られる性格のものではありません。
実際、今日見てきた CoSTEP 成果発表会でも、理系・文系、また、社会人の方も取り混ぜて、バラエティに富んだメンバー構成でした。

成果発表は何チームかに分かれて行っていましたが、印象に残ったのは、エキノコックスを巡ってのキタキツネと人間の関わりについて、一般の人びとに伝えようとした取り組みです。
エキノコックスはキツネなどに感染する寄生虫で、キツネなどから人に感染し、治療せずにいた場合の致死率は高いです。

札幌では市街地にキタキツネが生息しており、住民との接触が問題になっています。
住民に、キタキツネとの接触エキノコックスに感染する可能性があること、感染しないためにキタキツネと適度な距離をとること、などを伝える必要があります。

このチームは札幌市内の月寒公園で、小学生を相手にこのことを伝えるため、様々な工夫を行っていました。
これはまさに科学技術コミュニケーションであり、科学技術コミュニケーターとしての実践です。

今日の CoSTEP の成果発表会を見て、文系の私には縁がないものと考えていた科学技術が、少し身近に感じられました。
科学技術というのは、面白いのかもしれません。