(2021.2.20、支笏湖氷濤まつり)
2月14日の札幌市の、
最高気温は10.8度、
2月としては初めて、
2日連続で、
最高気温が10度を超えました。
この日の最高気温は、
他に、
道東の鶴井村で13.9度、
函館市で13.1度、
帯広市で12.8度と、
広範囲で、
4月から5月並みの暖かさです。
幹線道路に雪はなく、
生活道路では、
溶けた雪が大きな水溜まりを作り、
溶け切らない雪が、
シャーベット状に堆積しています。
函館市では2月13日に、
積雪がゼロとなりました。
支笏湖では1月27日から、
支笏湖氷濤まつりが、
行われていました。
しかし、
この暖かさで氷像が崩れ、
安全確保が困難なことから、
2月13日をもって、
まつりは中止となりました。
さっぽろ雪まつりは、
この前週に開催されましたが、
会期中に、
この暖かさに見舞われていれば、
雪像は融解していました。
(私が見に行った、
最終日2月11日の最高気温は、
0.1度でした。)
近年は、
会期中の雨や気温上昇で、
雪像が融解し、
倒壊の危険のある雪像を、
撤去するなどしています。
札幌の2月の、
日平均気温を見ると、
100年前の、
1924年は-5.7度、
その前年は-5.8度、
後年は-5.5度です。
たまの上下はあるものの、
この時代の、
2月の日平均気温は、
およそこの水準で、
推移しています。
しかし、
30年前の、
1994年2月の、
日平均気温は-1.3度、
その前年は-2.1度、
後年は-2.3度です。
それ以降は、
昨年の2023年まで、
-5度台は1回、
-4度台は3回のみです。
(データは、
気象庁のウェブサイトより。)
札幌の2月は、
どんどん、
暖かくなっています。
北海道の冬が、
暖かくなっていると、
言えます。
暖かいのは、
過ごしやすいです。
やっぱり、
寒いのは嫌、
暖かい方が、
いいですよね。
もっともっと、
暖かくなって欲しい、
暖かいの大歓迎。
そんな声が、
聞こえてきそうです。
でも私は、
ここ10年、
いえそれ以上、
なんだか寂しいのです。
北海道らしさが、
どんどん、
失われているからです。
私は、
小学校4年から中学校1年まで、
帯広市の東に位置する、
池田町に住んでいました。
当時、
冬の朝は-20度を、
下回る日もありました。
それでも、
スノトレを履いて、
耳当てをし、
身を切るような寒さのなか、
元気に登校していました。
教室に着くと、
バケツの水は、
凍っています。
友達と、
火の入ったばかりの、
石炭ストーブを囲み、
ふざけたり話したり、
していました。
学校から帰っても、
家の裏の公園で、
雪まみれになって、
遊んでいました。
(当時、
自宅の裏に、
清見ヶ丘公園という、
公園がありました。
今では、
池田町の、
観光スポットの一つです。
樹齢300年を超える、
カシワの大樹が茂り、
エゾヤマザクラが、
花のトンネルをつくります。)
寒さは厳しいですが、
そうした環境のなかで、
人々は、
暮らしを立てていました。
暮らしは、
地域の風土に根差した、
個別の、
生活様式を持ちます。
(風土は、
その土地の、
気候・地味・地勢など、
その土地のあり様をいい、
人間の思想や文化は、
風土に規定されると、
いわれています。
出典:野口忠(編),2009,『栄養・生化学辞典(普及版)』,朝倉書店。)
(生活様式は、
人間の生活する姿の、
総称を指します。
出典:同上。)
地域の生活様式は、
地域文化です。
地域文化は、
北海道らしさを構成する、
大きな要素の一つです。
北海道の風土が、
地域文化を育みました。
しかし、
冬はどんどん暖かくなり、
北海道の風土も、
変容しています。
それに応じ、
地域文化である、
北海道らしさが、
失われようとしています。
私はこれが、
寂しいのです。
冬が暖かくなれば、
暮らしやすいのは、
確かです。
しかし、
私のなかでの、
北海道の記憶は、
冬の厳しい寒さと、
ともにあります。
これが、
故郷である北海道への、
思いです。
暖かく快適になる冬。
それと引き換えに失われる、
北海道らしさ。
私は、
故郷を喪失するような、
寂しさを感じます。