パッサナーのブログ

日々、考えたこと、行動したことを、書いています

概念について明快なイメージを持つことができたこと

読んでいた本、
高根正昭,1979,『創造の方法学』,講談社現代新書、に、
概念について書いた部分がありました。
 
ここで心に残ったのは、
 
「概念とはもともと
 人間の経験が凝縮したものであろう。」
 
という文章です。
 
概念の意味を調べると、
 
「個々の事物から共通の性質を
 取り出してつくられた表象。
 
 内包(意味内容)と外延(適用範囲)とからなり、
 名辞と呼ばれる言語によって表される。」
 
とあります。
 
(出典は「精選版 日本国語大辞典」、
 以下同じ。)
 
(上で下線を引いた語句は、
 下で説明します。
 
 下でも下線を引いた語句があり、
 それぞれの下で説明しています。)
 
 
上で示した概念の意味のうち、
よく分からない語句があります。
 
それは、
表象、内包、外延、名辞です。
 
一つずつ意味を明らかにしてみます。
 
 
まず、表象について。
 
表象の意味を調べると、
「心理学で、直観的に浮かぶ感覚的な心象。」
とあります。
 
心象の意味がよく分かりません。
 
心象の意味を調べると、
「=心像」とあります。
 
心像の意味を調べると、
「以前に感覚によって得たものが、
 心の中に再生したもの。」
とあります。
 
念のため、
感覚について調べると、
 
「音、色、味、寒暖などから受ける印象や感じ。
 
 心理学では、
 感覚器官に加えられた刺激によって生じる意識をいい、
 刺激の加わる器官に応じて、
 視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚などに分類される。」
 
とあります。
 
表象の意味がだいぶはっきりしました。
 
表象とは、
以前経験した視覚、聴覚、臭覚、味覚、感覚、
つまり五感を、
心の中で再生したもののことです。
 
 
次に、
内包について。
 
意味を調べると、
 
「内部に含みもつこと。」
 
とあります。
 
概念はその内部に、
表象を含み持つ、
ということでしょう。
 
 
さらに、
外延について。
 
意味を調べると、
 
「概念が適用される事物の全体の、
 もとの概念にたいする称。
 
 たとえば、
 金属と言う概念の場合、
 金、銀、銅、鉄などが、
 これに当たる。」
 
とあります。
 
上で、もとの概念とは、
概念に含まれる個々の事物の概念である、
金、銀、銅、鉄などを指します。
 
称は呼び名のことです。
 
 
最後に、
名辞について。
 
意味を調べると、
「論理学で、
 概念を言語で表したもの。」
とあります。
 
論理学は、
ややこしくなるので、
ひとまず置いておきます。
 
一言でいうと、
名前のことでしょう。
 
 
さて、最初に戻ります。
 
概念の意味は、
 
「個々の事物から共通の性質を
 取り出してつくられた表象。
 
 内包(意味内容)と外延(適用範囲)とからなり、
 名辞と呼ばれる言語によって表される。」
 
でした。
 
これに、
表象、内包、外延、名辞の意味を勘案し、
改めて概念の意味を考えてみます。
 
すると、
私なりに理解した概念の意味は、
次のようになります。
 
「個々の事物から、
 共通の視覚、聴覚、臭覚、味覚、感覚を取り出して、
 それを心の中で再生したもの。
 
 内部に共通の視覚、聴覚、臭覚、味覚、感覚を含み持ち、
 それらが適用される、
 一定の範囲の個々の事物が存在する。
 
 そして、 
 名前を持つ。」
 
 
このことを、
林檎という概念で考えると、
次のようになります。
 
林檎には、
「ふじ」や「つがる」、
王林」といった品種があります。
 
Aさんが、
それらを見て、
匂いを嗅いで、
味わうとき、
Aさんはどの品種も、
それが林檎であると認識します。
 
それはAさんが、
林檎に共通な視覚、臭覚、味覚を、
心のなかで再生し、
それらが、
それぞれの品種の、
現実の視覚、臭覚、味覚と、
合致したからです。
 
林檎に共通な視覚、臭覚、味覚が、
林檎の概念です。
 
そして、
林檎の概念はその内部に、
林檎に共通な視覚、臭覚、味覚を含み持ちます。
 
また、
それらが適用される、
一定の範囲の事物があります。
 
そして、
林檎の概念は、
林檎という名前を持っています。
 
 
ここまできて、
ようやく私は、
概念とは何かを、
知った気がします。
 
『創造の方法学』に書かれていた、
「概念とはもともと
 人間の経験が凝縮したものであろう。」
という文章も、
理解することができます。
 
林檎の概念で言うと、
人間の経験とは、
林檎を見て、
匂いを嗅いで、
味わうことです。
 
これを、
様々な品種に対して行うことで、
概念が適用される品種の範囲も、
広がります。
 
そして、
多くの品種に共通する、
視覚、臭覚、味覚が濃縮されて、
りんごの概念が形成されるのです。
 
 
今回私は、
概念について、
明快なイメージを持つことができました。
 
さっぱりして、
気持ちがよいです。